御堂先生は溺愛中
ここで引き止めたら、さっき言ったことと矛盾しちゃう。
先生に甘えたい気持ちと、自分でやり切りたい気持ちが胸の中でせめぎ合って、結局凛は小さく首を振った。
「……なんでもないです。」
御堂はその様子を見て、何かを察したように少しだけ目を細めた。
「無理しすぎないこと。それだけは約束して。」
「……はい。」
その返事を聞いて、御堂は今度こそ席を離れた。
図書室を出る直前、振り返ってもう一度だけ凛を見る。
ノートとテキストを交互に睨みながら、眉間にしわを寄せている横顔。
不器用で、真面目で、放っておけなくて。
——ああ、やっぱり好きだな。
そんな自分の気持ちに苦笑しながら、御堂は静かに図書室を後にした。
御堂の足音が完全に消えてから、凛はふうっと小さく息を吐いた。
……言っちゃったな。
見守っててください、なんて。
強がりすぎたかも、と思わなくもない。
でも。
ここで先生に頼ってばかりじゃ、ずっと同じところにいる気がした。
ページに視線を戻し、もう一度最初の文を読む。
さっきより、ほんの少しだけ頭に入ってくる気がした。
「……よし。」
凛はシャーペンを握り直した。
先生が見ていなくても、
先生に誇れる自分でいたいから。
そう思うと、不思議と胸の奥が温かくなった。
ページの端に小さくメモを取りながら、凛はゆっくりと次の問題に進んだ。