御堂先生は溺愛中
「あ、あれ美麗ちゃんじゃん。」
大樹はそう言うと、式場の入り口にいた1人の女性を指差した。
「誰?」
「お前知らんの?美人で金持ちで有名じゃん。」
「ふうん…。」
どうでもいいな、と御堂は呑気に考えていた。
それから2人も式場の中に入ってくだらない話をしていると、
「あの、御堂謙次郎さん、ですか?」
そうか細い声で名前を呼ばれて、御堂はその声の方へ思わず振り返った。
ああ、この人さっきの…。
大樹がお金持ちで美人って言っていた……
「柳生美麗です。私の父と御堂さんのお父様が仲良しみたいで、いつもお話を伺ってます。」
美麗がにこりと笑うと「ああ、どうも。」と御堂は適当に返した。
あー、母さんが言ってた柳生さんの娘さんってこの人のことだったんだ。
御堂は昨日の母の言葉を思い出して1人納得していた。