いい加減こっち見ろよ!〜見た目だけだとフラれ続ける私は、どうやら幼馴染の執着愛に気づいていなかったようです。〜
 最初の頃は、憤慨していた。勝手に見た目で判断して、勝手にがっかりしたのはそっちだろう、と。
 でも、ここまで繰り返すと、怒りさえ感じなくなる。
 込み上げてくるのは怒りではなく、自嘲と諦めだ。

 告白されて付き合った歴代彼氏たちは、皆、似た言葉を口にして去っていった。割と早めに。

 こうまで同じ理由で、しかも、半年と持たずに毎度失恋するのだ。元・彼氏達ではなく、きっと自分に重大な欠点があるのだろう。そう思わずにはいられなかった。
 
 自信はどんどんなくなって、親や友人、周りの人達、皆に褒められる容姿は、たちまち悩みのタネに変わっていった。

 ガサッ。

 しばらく放心し、力無く垂れていた腕を、再び動かし始める。肩にかけていたお気に入りの緋色のカバンから、携帯電話を取り出して、画面を操作した。そうして、耳に運んだ受話器の向こうでコール音が鳴り響いた。

 ....プルルル、プルルル、プルッ。

 3コール鳴り終わらないうちに電話が繋がった気配に、ふっと強張っていた肩の力が抜けていく。

『....八重か?どうした?』

「.....ふ、ぅっ、いっせー...」

 聞こえてきたのは、小学生の頃からの幼馴染、一生の声。気怠げな声音から寝る間際だとすぐにわかったが、発せられた言葉は私を気にかけるもので、じわぁっと傷ついた心に沁みこんだ。堪えていた気持ちが、どっと溢れだす。

『.....今、どこだ?』

 ガバリと小さな衣擦れの音が電話越しに鳴ると、次の瞬間には耳に伝わる音質が変化して、スピーカーへと切り替わったのを感じた。
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