婚約者にバカにされ続けた侯爵令嬢が「ざまぁ」するに至るまで
 観劇を終え、オリン家の馬車に揺られながら、ミラジェーンは深くため息をついた。

 不満によるものではない。大変な満足感だった。

 強いて言えば、共にいるのが友人か家族であれば感想を連ねることもできたが、さすがに興味がなさそうなエリオットにそこまで語る気にはなれなかった。


「ミラ嬢、どうだったかな?」

「大変すばらしいお話でございました」

「そう……僕にはやはり良さはわからなかったけど、女性には楽しいものなんだね」


 ミラジェーンは、ほんのりと棘が刺さったような感覚を覚えたが、疲れていたため微笑んで頷くだけにとどめた。

 やがて馬車はブライズ侯爵家の門の前で止まった。


「今日はお誘いいただきありがとうございました」

「楽しんでもらえたかな」

「はい、とても。またぜひご一緒いたしましょう」

「そうか。では、よい夜を」


 エリオットに見送られ、ミラジェーンは帰宅した。

 ミラジェーンは湯浴みをしながら、体を洗う侍女に観劇の様子を熱心に語って聞かせた。

 次にリサーナと会ったら劇の内容について話し合おう。

 そう思いながら話していたミラジェーンは、すっかりエリオットのことを忘れていた。
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