婚約者にバカにされ続けた侯爵令嬢が「ざまぁ」するに至るまで
「殿下?」


 窓の外から、鈴のような声が聞こえた。

 エースはゆっくりと口角を上げ、目尻も下げた。


「では失礼する、オリン公爵令息。街道が整備され、栄えるのを楽しみにしている」


 カツンと音を立てて、エースは踵を返した。

 ホールに戻ると、愛しい女性がグラスを両手に持って待っていた。


「お待たせミラ。ブライズ侯爵は?」

「父たちは国王陛下と歓談中ですわ。殿下のご用事はお済みになりましたか?」

「うん、今終わらせてきた」


 エースはにこりと微笑み、グラスを受け取った。


「ねえミラ。今日のドレスもよく似合っている」

「ありがとうございます。どうなさいましたの、急に」

「言いたくなっただけだよ」


 照れた表情のミラジェーンを、エースはじっと見つめていた。
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