婚約者にバカにされ続けた侯爵令嬢が「ざまぁ」するに至るまで
 振り返らないその背を、エースはじっと見つめていたが、彼は何も言わず、立ち上がることもなかった。

 温室の扉が閉まってから五分以上が過ぎたのち、エースは残った焼き菓子を籠に戻した。上からハンカチを掛けて立ち上がった。

 籠を大切そうに抱えたまま、彼は自室へと向かった。

 途中で侍女が合流したが、エースは籠を渡さなかった。すべて彼のものであったからだ。
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