きっと、夏のこと
それからの一日、私の心臓はせわしなかった。
急に自分のまわりから音が消えたみたいに、カンカンとうるさいチョークの音まで私の鼓動に吸い取られていった。
初めての感覚だった。
昼休みの彼女とイヤホン分け合って、お気に入りの曲を聴く時間。
「今日はスマホ忘れちゃった」
なんてごまかして、二日連続で彼女のお気に入りの曲を聴いた。
まったく何も聞こえてこない気がした。
落ちサビに入って、突然聞こえたフレーズ。
ささやくみたいに
『ずっと前の思い出は、そこに置いたままで。
もう一度は生き返れない。
ばいばい』
その言葉に、一生懸命知らないふりをした。
歌の世界の話は、私には当てはまらないって信じた。