きっと、夏のこと
チャイムが鳴る。
教室が一斉にざわついて、椅子が引かれる音が重なる。
「帰ろ」
隣から聞こえた声に、私は小さくうなずいた。
「うん」
私たちは特別な話をしないまま、同じ方向に歩いた。
廊下を抜けると、空は少しずつ夕暮れ色に傾いていた。
風が校舎の隙間を抜けて、
シャツの袖をさらっと揺らす。
自転車のチェーンの音、
遠くで犬が吠える声。
家に着くころには一日の終わりが、少しだけ特別に思えた。