きっと、夏のこと

大学が始まって、新歓の期間。


もちろん私たちは軽音サークルに向かった。


「先輩に会えるかなっ」 なんて無邪気な彼女。




その正直さが羨ましかった。




旧教育棟は前よりも一層古びていて、


外壁の工事計画書が建てられていた。


軽音の看板がかかる扉の前にいく。




あのイベントぶりだ〜なんて騒がしい彼女をよそに、


私は牧田さんに会えたあの日を思い出していた。




扉を開けると、古い空気の中にたばこの匂い。


甘い匂いは全くしなくて、その代わりに甘すぎてきつい香水の匂いにくらくらした。
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