きっと、夏のこと
第九話 コレサワ
大学生になって、
新しい環境で、
新しい友達ができて、
新しい先輩ができて。
私は牧田さんのことを忘れてしまうくらい、忙しく過ごしていた。
新歓期間を終えた軽音サークルでは、もうグループを作って、みんなでひとつの楽曲を完成させる準備に入っていた。
私は女子五人組でバンドを組んだ。
もちろん、彼女もその一人だった。
担当を話し合って、曲はコレサワに決めた。
選んだのは『あたしを彼女にしたいなら』。
先輩に報告すると、「一女らしいね〜」なんて言われて、少し誇らしかった。
私は彼女と一緒にギターを担当することになった。
あのイベントぶりのコード読みは相変わらず難しくて、ギターはまだ音ひとつまともに鳴らせそうになかった。
それでも、心のどこかで高校生の頃から、
「ギターをやる」って決めていた気がしていた。