きっと、夏のこと
サークルに戻ると、ヤスがいた。
「おかえり」
「うん」
それ以上、何も聞いてこなかった。
聞けないんだろうな、と思った。
私が本を持って出ていったのも、本を持って帰ってこなかったのも。
ヤスは、きっと全部わかってる。
私の片想いなんて、ヤスには全部バレバレだ。
「次の練習、何時から?」
「いつも通り」
私はギターを抱え直す。
牧田さんとの線は、ここで終わりに向かっている。
静かに、誰にも見えないところで。