雨のち花憑き


最後に窓を閉めようと手をかけた時、不意に、ポツリ、と窓ガラスに一粒の雨が当たった。


それは涙のようにゆっくりと軌跡を描き、鈴花の指先に冷たい感触を伝えてくる。


急かされるように教室を後にし、無人の廊下を走る。


上履きの音が、しんと冷えた校舎に反響して、背後から誰かが追いかけてくるような錯覚を抱かせた。

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