サブキャラ令嬢ですが、神竜王陛下を溺愛させて幸せエンドにします! ~ヤンデレ親友と同盟して、悲恋ルートを全部へし折ります~
同盟成立の印として、私はゲームプレイヤーならではのメタ視線による情報をエージュに送ることにした。
「あのね、エージュ。嫌なお報せがあります」
「嫌な報せなら聞かなくてはね。知らずに対処はできないわ」
顔に似合わず男前な答えをくれたエージュに、私はコホンと咳払いした。
「……エージュは、実はリヒト・カール・ルア・カイザーリング殿下の異母妹です」
「え?」
「何かねー。今の国王陛下が、亡き王妃陛下が懐妊中に浮気しちゃったらしいのね。エージュのお母様と」
エージュにはお兄さんもいる。つまり……ダブル不倫ってやつですね。
「…………」
「それで、来年。ミレイが召喚されてドタバタしてる時に、国王陛下がエージュは自分の娘だ、だから王女として遇する、リヒトの妃にはならないって公表しちゃうのよ」
「…………」
「リヒト殿下は、妹であるエージュを異常なくらい溺愛するようになって、何にしてもエージュ最優先になることで、ミレイとすれ違うのよね」
「……リヒト殿下に、溺愛……」
既につらそうになっているエージュ。更に追い打ちをかけなくてはいけないのが申し訳ない。
「それで、シルヴィス・ソール・ルア・ナルバエスがものすごく嫉妬する」
「……前々から思っていたけれど、あの大公令息、どう見てもリヒト殿下に……」
「そこは軽い描写だったからわからない。ただ、シルヴィス様のおかーさまがもう亡くなってて、その双子の妹が産んだリヒト殿下は母親そっくりだから、亡き母を思う心がリヒト殿下への深い友愛になっているっていうのが公式の説明だから」
「言葉を選んでいる時点で、そうせざるを得ない種類の愛情ってことでしょ」
エージュ。それは言わない約束だ。私もそう突っ込んだので、私達の感性は似ているんだなと思った。
「お母様の不倫はいいわ。わたくし、どう見ても王家の血が流れている容姿だし」
この国は、王家に近い血筋ほど色彩が薄くなる。アレクシアもかなり薄いけど、王家と縁戚である公爵家の出だから違和感はない。だけど、そのアレクシアよりもっと色彩の薄いエージュは、「侯爵家」の令嬢で、ここ三代ほどの近い祖先に王族はいない。
「だけど、そのことを認めるなんて……お父様はおいくらでわたくしと自尊心を売ったのかしら」
「爵位の引き上げ」
「ああ、ご落胤である王女を養育した褒賞ということね、わかりやすいわ。お父様は上昇志向の強い方だから、お母様の不倫も、きっとお父様の勧めね」
達観した口調のエージュの手を、そっと握った。
「エージュ。私達は仲間よ。同志で、仲間で、親友よ。……無理しないでいい」
「アリー……」
「泣くなら、今にして。その未来を迎えた時にエージュが泣いちゃったら、私、ローラン陥落計画どころじゃなくなるの」
「……自分勝手よ、アリー。あなたの都合が悪いから、今泣けと言うの?」
「うん。今泣かないなら、私の前では泣かないで」
「……ずるいわ」
そう言うと、エージュは私の手を顔に当てて泣き出した。静かに、声を上げずに泣くエージュは、蠱惑的なほど綺麗だ。
「……エージュ。男の前で泣いちゃ駄目よ。私、今、ちょっとグラッときた」
「それで慰めているつもりなら、アリーは馬鹿ね」
エージュは、少しだけ微笑んだ。泣き濡れた微笑みは美しくて──慰めじゃなくて、本気が七割くらいだったと自白した私に、エージュは今度は声を立てて笑ってくれた。
「あのね、エージュ。嫌なお報せがあります」
「嫌な報せなら聞かなくてはね。知らずに対処はできないわ」
顔に似合わず男前な答えをくれたエージュに、私はコホンと咳払いした。
「……エージュは、実はリヒト・カール・ルア・カイザーリング殿下の異母妹です」
「え?」
「何かねー。今の国王陛下が、亡き王妃陛下が懐妊中に浮気しちゃったらしいのね。エージュのお母様と」
エージュにはお兄さんもいる。つまり……ダブル不倫ってやつですね。
「…………」
「それで、来年。ミレイが召喚されてドタバタしてる時に、国王陛下がエージュは自分の娘だ、だから王女として遇する、リヒトの妃にはならないって公表しちゃうのよ」
「…………」
「リヒト殿下は、妹であるエージュを異常なくらい溺愛するようになって、何にしてもエージュ最優先になることで、ミレイとすれ違うのよね」
「……リヒト殿下に、溺愛……」
既につらそうになっているエージュ。更に追い打ちをかけなくてはいけないのが申し訳ない。
「それで、シルヴィス・ソール・ルア・ナルバエスがものすごく嫉妬する」
「……前々から思っていたけれど、あの大公令息、どう見てもリヒト殿下に……」
「そこは軽い描写だったからわからない。ただ、シルヴィス様のおかーさまがもう亡くなってて、その双子の妹が産んだリヒト殿下は母親そっくりだから、亡き母を思う心がリヒト殿下への深い友愛になっているっていうのが公式の説明だから」
「言葉を選んでいる時点で、そうせざるを得ない種類の愛情ってことでしょ」
エージュ。それは言わない約束だ。私もそう突っ込んだので、私達の感性は似ているんだなと思った。
「お母様の不倫はいいわ。わたくし、どう見ても王家の血が流れている容姿だし」
この国は、王家に近い血筋ほど色彩が薄くなる。アレクシアもかなり薄いけど、王家と縁戚である公爵家の出だから違和感はない。だけど、そのアレクシアよりもっと色彩の薄いエージュは、「侯爵家」の令嬢で、ここ三代ほどの近い祖先に王族はいない。
「だけど、そのことを認めるなんて……お父様はおいくらでわたくしと自尊心を売ったのかしら」
「爵位の引き上げ」
「ああ、ご落胤である王女を養育した褒賞ということね、わかりやすいわ。お父様は上昇志向の強い方だから、お母様の不倫も、きっとお父様の勧めね」
達観した口調のエージュの手を、そっと握った。
「エージュ。私達は仲間よ。同志で、仲間で、親友よ。……無理しないでいい」
「アリー……」
「泣くなら、今にして。その未来を迎えた時にエージュが泣いちゃったら、私、ローラン陥落計画どころじゃなくなるの」
「……自分勝手よ、アリー。あなたの都合が悪いから、今泣けと言うの?」
「うん。今泣かないなら、私の前では泣かないで」
「……ずるいわ」
そう言うと、エージュは私の手を顔に当てて泣き出した。静かに、声を上げずに泣くエージュは、蠱惑的なほど綺麗だ。
「……エージュ。男の前で泣いちゃ駄目よ。私、今、ちょっとグラッときた」
「それで慰めているつもりなら、アリーは馬鹿ね」
エージュは、少しだけ微笑んだ。泣き濡れた微笑みは美しくて──慰めじゃなくて、本気が七割くらいだったと自白した私に、エージュは今度は声を立てて笑ってくれた。