凪渡くん、このままじゃ溶けてしまいます【完全版】
「無理だと言ったら?」



「では、日を改めてもう一度お願いに来ますね」



少しだけ口角を上げて、気持ちを落ち着かせたまま笑う。

私のその様子を見て、凪渡くんのお父さんは近くにいた秘書に何かを確認している。

「十分だけだ」

「ありがとうございます」

そのまま凪渡くんのお父さんと共に、パーティー会場から出て別室に向かう。

凪渡くんは何も言わずにただ着いて来てくれていた。

部屋に入ると凪渡くんのお父さんが、壁際に置いてあるソファに腰掛ける。


「で、話とはなんだ。以前は返事すら出来なかったじゃないか」


それは私への(あき)れ。

だからこそ、背筋がまた一層伸びた気がした。
< 126 / 134 >

この作品をシェア

pagetop