凪渡くん、このままじゃ溶けてしまいます【完全版】
部屋で出て、涼しい空気が頬をかすめれば、目の前の廊下には大きな絵画が飾られている。

横を見渡しても廊下は続いているし、灯りは(いた)る所に高級そうなライトが飾られている。

私の住んでいる小さなアパートとは、天と地の差だった。

正直、凪渡くんのお父さんが私のことを気に入らないと思っていることも(うなず)ける。

だって、私と凪渡くんじゃ住んでいる世界が違うと言われても否定出来ないのだから。



それでも、凪渡くんの隣に自信を持って立ちたいのだ。

立ちたいと思ってしまった。



傾き始めた気持ちにも、気づき始めた気持ちにも、浸る時間はないままに、私はいつの間にか凪渡くんの家のメイドになっていた。

それでも、この判断は間違っていなかったと思う。

一緒にお弁当を食べてくれた凪渡くんも、食堂でバイトしていた凪渡くんも、胡散臭いのに結局誰も傷つけない凪渡くんも、全部嫌いじゃなかった。

ううん、むしろ……

なら頑張らないとっ!

凪渡くんだけに背負わせていられない。

< 86 / 134 >

この作品をシェア

pagetop