凪渡くん、このままじゃ溶けてしまいます【完全版】
でも、前に踏み込んだ時と変わらない。

仁くんは私を心配してくれる時しか踏み込まない。

「ごめん、仁くん。心配かけて。でも大丈夫だから」

「信じて良いわけ?」

「もちろん。本当に無理そうだったら、バイト減らすから安心して」

「じゃあ、信じるわ」

そして、仁くんはもう踏み込まないから安心しろとでも言わんばかりに話を無理やり戻した。

「ちなみに俺の洗った皿の枚数は五十枚くらいだったと思う」

「数えてるじゃん!」

「大体だから」

その話の戻し方が下手なのが、あまりに仁くんらしくて。

私はつい笑ってしまいそうになるのをぐっと堪えた。

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