凪渡くん、このままじゃ溶けてしまいます【完全版】
「仁くん、ケーキ屋さんを教えてくれてありがとう」

「別に。それと、これやる」

仁くんは先ほど買ったケーキの箱を何故か私に差し出す。

「仁くんの分じゃなかったの?」

「間違えて買った」

「それは嘘でしょ」

「そうだけど……まぁ、白木はいつも寝不足でバイト頑張っているし」

「本当に貰って良いの?」

「別に。一個だけだし」

仁くんがそんなひねくれたことを言うので、つい言い返してしまった。




「大事なのは気持ちなんでしょ。仁くんが言ったんじゃん」



「っ! わざわざ言い返すなよ」




照れている仁くんにもう一度「ありがとう」とお礼を言って、別れる。

先ほどまで歩いてきた道をもう一度戻っていく。

そんな私の背中に届かない距離で、仁くんはつぶやく。








「大事なのは気持ち、か」







物語がまた動き始める。
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