バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「姉様! 何を見ているの?」
「ヴァルツハイユ帝国に伝わる、救済の歌姫の伝承ですわ」

 ゼヴァイツ公爵家のお宅訪問から、数週間後。
 なぜか、殿下は我が家に押しかけてこなくなった。

 ――ようやく一息つけますわ……。

 ようやく、婚約破棄に同意をする気になったのだろう。
 私はストレスから解放されたことに喜びつつ、ダグラスから借りた本をじっと見つめるリナリアに釘を刺す。

「これは借り物ですの。あなたには、渡せなくてよ」
「えー? 高級そうな本を姉様ばっかり独占するなんて、ずるい! わたしにも読ませて!」
「なら、要約だけをお伝えいたしますわ」
「ようやく? それって、なぁに?」

 馬鹿なふりをしているのか、本当に頭が足りていないのか……。
 さすがは姉の婚約者を奪い取ろうとするような妹だ。
 そう感心しながら、ぶっきらぼうに伝える。
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