バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「みなさんに、私との関係を疑われてましてよ」
「いっそのこと、ここで正体を明かすか」
「そんなことをしたら、騒ぎになってしまいますわ」
「それも、悪くはないと思うのだが……」

 くだらない会話をしながら馬車に乗り込み、外の光景をぼんやりと見つめる。

 ――彼が誠実で、自分にはもったいないくらいの素敵な殿方だと、理解しているつもりだ。

 けれど、私は一度ジェラルドを深く愛するあまり失敗してしまった。

 あのような過ちは二度と繰り返さないと決めているからこそ、どれほど言い寄られたとしてもその気持ちを受け入れるつもりはない。
 そう、固く誓っていたはずなのに……。

 無事に婚約破棄を成立させて、今後の進退について真剣に考えなければならない時が訪れたからか。
 それとも、10年前の修道院事件が尾を引いているからか……。
 自分でも言葉にできないモヤモヤとした想いが、浮かんでは消えていく。

 ――何百回と告白を断っても、愛を囁いてくれる。
 そんな彼の想いを拒否し続けるのは、失礼なのでは?

 私は今まで、彼を好きではない振りを必死にし続けていた。
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