バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
 私は苦笑いを浮かべながら歌唱を終えると、舞台袖に引っ込む。
 その後、小劇場に集まったファンの噂話に耳を傾けた。

「昔は白と黒の歌姫は対のように扱われていたのに、今じゃすっかり妹の方だけが有名になっちまって……」
「救済の歌姫なんて呼ばれる器になるなんて、思わなかったわ」
「確かに。白の歌姫の歌も聞いていると元気になれるけど、歌唱力はどう考えても黒の歌姫のほうが上だもんなぁ……」

 観客達はどうして私ではなく妹だけが大人気になったのかと、不思議で堪らないようだ。
 それは「私がリナリアよりも目立ったら、逆恨みされて冤罪をでっち上げられる可能性が高いからですわ」などと言えるはずもなく、反論したい気持ちをぐっと堪えて聞き流す。

「知る人ぞ知る状態から脱却するには、どうしたらいいんだか……」
「もっと大きなステージに立って貰わなければ……」
「でも、そうすると警備が大変じゃない? 今だって、彼が1人で黒の歌姫を守っているのでしょう?」
「そういや、あの騎士みたいな男、随分親しげに話しかけていたが……」

 そうこうしている間に、舞台袖へ待ち人がやってきた。
 ダグラスは私に全身をすっぽりと覆い隠すフードを手渡してくる。
 それを身に纏い、用は済んだとばかりにさっさと会場をあとにした。
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