バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「ど、どうして? なんでみんな、姉様をありがたがるの!? 救済の歌姫って呼ばれていたのは、わたしなのに!」
「浮気性な殿下と、末永くお幸せに」
「ま、待ってよ! 姉様! わたしを置いていかないで……!」

 妹はなんらかの異変を察知したのか、殿下ではなくなぜか私に縋りつこうと試みる。

 ――しつこいな……。

 うんざりしながらも歌を奏でようとすれば、私とリナリアの間に割って入る男性が現れた。
 それは――。

「ルリミカに近づくな。救済の歌姫を騙る、身の程知らずが……」

 怒りを押し殺した低い声で妹に警告する、ダグラスだった。
 彼はいつの間にか腰元の剣を引き抜き、こちらを庇うように妹の喉元へ切っ先を向けている。
 その姿を真正面から見て萌えたいという気持ちがないわけではなかったが、なんだか胸がムカムカして息苦しい。
 こんな状態でここにい続けたら、倒れてしまいそうだ。

「それでは皆様、ごきげんようよう」

 どうにか自らの手で妹と殿下を退けられたのだから、悪役令嬢らしくこの場は堂々と退場したい。
 そんな思いに駆られた私は不敵な笑みを浮かべ、カツコツと軽やかにハイヒールを鳴らしてこの場をあとにした。
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