バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
 ――どうにか、バッドエンドを迎えなくて済んだ……。

 そんな安堵感で胸がいっぱいになったせいか。
 曲がり角を曲がってすぐに、荒い息を吐き出しながらかくんと膝から崩れ落ちる。

「ルリミカ……!」

 ――もう、限界だった。

 救済の歌姫としての力を使ったせいなのかは定かではないが、身体が熱い。
 このまま、焼き焦げてしまいそうだ。

「しっかりしろ!」

 回帰する前は、私を刺し殺して満足そうな笑みを浮かべていた癖に――。
 こちらの具合の悪くなった姿を目にして彼が焦っているのが、おかしくて堪らない。

「案外、頼りになりますのね……」
「もういい……っ。喋らないでくれ……!」
「見直しましたわ……」

 ダグラスは細い身体を軽々と抱き上げ、どこへ走り出す。
 彼がいなければ廊下で倒れ、最終的には捕まっていたかもしれない。
 そういう意味では、この人がいてくれてよかったと思う。

「さすがは、私の推し……ですのね……」

 これで心置きなく、意識を手放せる。

 普段ならば暴れて抜け出そうとしたが、そんな気も起きない。
 私は逞しい胸に身体を預け、深い眠りに誘われた。
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