バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
 こちらが申し訳なさそうに頭を下げてしまえば、冷たく接した意味がない。
 私は心を鬼にして彼の手を借りずに立ち上がる。
 そうして、その場をあとにしようと試みた。

「手を伸ばしても、触れる前に消えてしまう。幻影のように儚く可憐な君を、俺は愛しく思う」

 しかし、ダグラスはこの程度の拒否では諦めてはくれなかった。

 無口で無愛想と有名な騎士団長は饒舌な口ぶりで言葉を発すると、真顔でポエムめいた告白をし始める。

 ――ちょっと待ってよ。
 私、最悪な態度を取ったはずよね?

 これで百年の恋が冷めるどころか燃え上がるのであれば、常人には手に負えない。
 諦めるか、逃げ回るか。
 はっきりと暴言を口にするしかないだろう。

 ――ただ、今の私って悪役令嬢なのよね……。

 品行方正な立ち振舞いに気をつけなければ、いつ背中から刺されるかわからぬ身の上だ。

 彼を遠ざけたいがあまりに不愉快な言動を繰り返す姿を遠くから見つめた他者に苦言を呈され、処刑されては堪らない。

 ここは、逃げるのが先決だろう。
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