バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「ど、どうにかなりませんの?」
「残念ながら、ほかに方法はない」
「だ、だったら……。私、このままで構いませんわ……!」
「それは、危険すぎる。俺が君の唇に触れれば、それだけで済む話だ。どうか、許可をもらえないか」

 ダグラスの瞳が、気の毒そうにこちらを見つめている。
 相手がジェラルドではないだけまだマシかも知れないが、あとあとキスをした仲だという事実を元にこちらを脅し、今まで以上に距離を縮められては堪らない。

「口づけを交わす必要なんて、本当にありまして……?」

 どうしても彼に唇を許す気になれず、どうにか避けられないかと画策する。
 しかし、本当にそれしか打つ手はないようだ。

「頼む……。ルリミカ。このままでは、君の身体が限界を迎えてしまう……!」

 二度目の人生では、私を殺そうとしてきたくせに。
 そんな男から「私が死んでしまう」と心配されるのは、なんだかおかしな話だ。

 本来であれば「あなたが言える立場ではありませんわよね?」と突っぱね、ここで生涯を終えるべきだ。

 そう、思うのに――。
 なぜか私は彼に握りしめられた指先をしっかりと握り返し、ゆっくりと目を瞑った。
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