バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「ゼヴァイツ公爵令息が嫌いだから、出ていくのですか……?」
「そうだと言ったら、どうするつもりですの?」
「あのお方は私の次に、お嬢様を愛しているのに……。こんなふうに好意を拒絶するなんて、酷すぎます!」

 相手がダグラスであれば「あなたの目は節穴ですの?」と言えたが、幼い頃からずっと一緒に育ってきた彼女に言われるときついものがある。

 これ以上きついことを言って悲しませるわけにはいかず、優しい声音を心がけて声を発する。

「独り善がりの愛情は、相手に伝わらずに空回りするだけでしてよ」
「どうしたら、彼を好きになってくださるのですか……?」
「さぁ。それは、私にもわかりませんわ」

 当事者なのにその答えを知り得ないなど、おかしい。
 彼女の瞳はそう言わんばかりにこちらをじっと見つめている。

 ――彼と出会った当初は、ラルラだって警戒心を露わにしていたはずだ。

 私の知らないところで心を通わせていたとすれば、やはり己が修道院に捕らえられている最中だろう。

 ――私を説得したところでどうにもならないからって、ラルラを抱き込むなんて卑怯にも程がある。
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