バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
 私は寝台の近くに置かれていた着替えを手に取り、どうにか身支度を整える。
 その後、窓から脱出を図ろうとして――。

「お嬢様! お待ちください……!」

 ラルラに捕まった。
 侍女は勢いよく私の背中へ飛びつくと、外へ出ていくのを阻止する。

「は、離してくださる!? 主の命令は、絶対でしてよ!」
「ここでお嬢様のお姿が見えなくなったら、ゼヴァイツ公爵令息が取り乱されます!」
「そんなの、知ったことではありませんわ!」
「10年前のあの日……! お嬢様が修道院に見学へ向かった際、慌ててあなたを探す彼の姿を目にして、どうして一緒に着いていかなかったのだろうと酷く後悔しました!」
「ラルラ……」
「もう、あんな思いはうんざりなのです!」

 侍女は力いっぱいそう叫ぶと、私にしがみつく力を弱めた。
 恐る恐る振り返ると、瞳から大粒の涙を流す彼女と目が合い、面食らってしまう。
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