バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「ゼヴァイツ公爵令息の元へ嫁ぐのでしたら、私もお供させてください!」

 側使えから想像もしない提案を受けてしまい、困惑する。
 彼女はダグラスの出自を知らないからだ。
 隣国に嫁ぐと聞けば、きっと一緒に着いて来たいなんて言わないだろう。

 ――でも……。
 彼の秘密は、軽々と伝えていいものではないし……。

 ダグラスや私は自分の身を守れるが、ラルラは違う。
 彼女はか弱き可憐な女性だ。
 襲われたら、一溜まりもない。

 やはりここは、適当な理由をつけて断るのが一番だ。

「申し訳ないのですけれど……」
「お嬢様の同意が得られないのでしたら、ゼヴァイツ公爵令息へ直接聞いて参ります!」

 ラルラは何を思ったのか、バルコニーへ駆けだす。
 慌ててその背中を追いかけると、中庭で待つダグラスに向かって声を張り上げた。

「ちょっと! お待ちなさい……!」
「お嬢様を娶るのでしたら、私も同行いたします!」
「国を捨てる覚悟は?」
「あります!」

 侍女の堂々たる決意表明を聞いたダグラスは、しばらく目を丸くして考え込む様子を見せていた。
 しかし、彼女が一向にそれを撤回する様子がなかったからだろう。
 最終的には、ラルラの主張を受け入れる。
< 156 / 260 >

この作品をシェア

pagetop