バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
 危険を顧みずに危なげもなく助け、自分の心配よりも私を気にする素振りを見せてくれたから?
 上辺だけではなく、心の底から自分を愛していると、ようやく自覚できたから?

 どれほど理由を探しても、答えは出ない。

 ただ1つ、わかることがあるとすれば――。

 私はこの状況に、ドキドキと心臓を高鳴らせている。
 それだけだ。

 ――愛する人の危機に颯爽と駆けつけ、救い出す。
 その姿はまるで、童話の中で語られる王子様のようだった。

 今まで彼の好意を拒否していた己の行動が、信じられない気持ちでいっぱいになる。

 ダグラスは何年も前から私を愛してくれていたのに――。
 今になってようやくそのありがたさに気づくなんて、あまりにも遅すぎた。

 吊り橋効果なんて、よく言うけれど。
 この出来事に便乗して素直な気持ちを打ち明けたところで、彼は喜んでなどくれないだろう。

 ――彼にいだくこの気持ちが本物だと、確認したい。

 私はそんな思いに駆られ、何かに突き動かされるようにダグラスの頬へ触れる。
< 159 / 260 >

この作品をシェア

pagetop