バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「あれは、第3皇子?」
「殿下が抱きかかえている女性は誰だ?」

 ダグラスは己に向けられる訝しげな視線に慣れきっているようで、まったく気にした様子もなく堂々と歩みを進めている。
 そんな状況で悪役令嬢の私が怯えるわけにもいかず、不敵な笑みを浮かべてこの場をやり過ごした。

「全員、集まっているな」
「ダグラス! 久しぶりに連絡してきたかと思えば、一体どういうことだ! 罪人を連れて来るなど……!」
「今日は、王位継承権が俺にあると主張するためにきた」
「なんだと?」

 この場に集まった王族達は、今さら一体なんのようだと訝しげな視線を向けてくる。
 ここで部外者の私が口を挟んだところで、話がややこしくなるだけだと静観の構えを取った。

「その女は、救済の歌姫を騙った重罪人だぞ!?」
「俺達が皇帝になるためにどれほど血の滲むような努力をしたと思っている!?」
「長年行方を眩ませて王位継承レースから逃げていたくせに……! くだらない理由であれば、認めるわけには……!」

 皇太子と第2皇子は、もの凄い剣幕でダグラスを非難する。
 こんなに感情的な王族達が、いずれこの国を収める皇帝として切磋琢磨していたなど、考えたくもなかった。
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