バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「殿下の子を孕めば、きっと……。彼の心が手の入らなくても、正妻の座は、私のものでしてよ……!」
「そんなに、王太子妃になりたいのか」
「だ、誰ですの……!?」

 リナリアは近くにあったシーツに包まりこの世のものとは思えぬ美しい姿を覆い隠すと、瑠璃色の瞳に怯えの色を孕ませる。

 ――いつもそうだ。

 どれほど交流を深めても、あの男には勝てない。
 俺だけが覚えている。
 彼女との出会い、交わした言葉の数々。
 ルリミカに対する想い。
 そのすべてをぶつけられたら、どんなにいいことか。

「哀れなものだな……。何度繰り返しても、君はいつだって不正解ばかりを選び取ってしまう……」

 腰元の剣を引き抜けば、彼女の表情が恐怖で引き攣る。

「な、何をするつもりですの!? 止めて! 誰か……!」

 ――ああ。
 君をあと何回この剣で串刺しにすれば、この手でルリミカを抱けるのだろうか?

「俺の名は、ダグラス・ヴァルツハイユ。君の夫になる男だ」

 何百回と口にしたお決まりの台詞を口にしたあと、俺は彼女の命を奪った。
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