バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「俺の名は、ダグラス・ゼヴァイツ。君の夫となる男だ」
「残念でしたわね。私、婚約者がいますの。あなたと結婚なんてしませんわ!」

 ルリミカは胸元で両腕を組んだまま至極当然のことを口にすると、その場から立ち去ってしまった。

「黒の歌姫に求婚なんて、勇気があるねぇ」
「そんなに落ち込まなくても……」

 その様子を目にしていた劇場の客達からは慰められたが、最愛の少女の些細な変化を見逃すわけがない。
 彼女の頬は、明らかに赤らんでいた。

「くくく……っ」
「ど、どうした?」
「告白を断られて、おかしくなっちまったんじゃないかい?」
「ははは……!」

 ――俺は賭けに勝った。
 初めて、ルリミカが俺のアプローチに応えてくれたのだ。
 例えどれほど民達から不審な目を向けられたとしても、喜ばずになどいられなかった。

 ――ああ。
 もっと早くに、こうして彼女に声をかけてやればよかったのか。

 例え嫌われても構わない。
 いずれそれが愛憎に変われば、俺はあの男からルリミカを奪い取れる――。

 俺は一頻り笑い終えたあと、小劇場から姿を消した。
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