バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「な、何をする気だ……!」
「なんだと思う?」
「ひ……っ!」

 腰元につけた剣に注目したあいつは、「このままでは殺される」と本能的に悟ったのだろう。
 目に見えてうろたえ、命乞いを始めた。

「や、止めてくれ! た、頼む! 命だけは……!」
「貴様はいつも、自分のことばかりだな」
「うわぁああ!」

 剣の切っ先を首筋に向けただけで、失神するとは……。
 こんな情けない奴をルリミカが愛していたなど、考えるだけでもおかしくなりそうだ。

「ロバート」
「はい」
「薬は」
「こちらに」

 右腕から透明な小瓶に入った薬を受け取り、無理やりそれをあいつに飲ませた。
 これで、彼が目覚めた時には生まれてから今日に至るまでの出来事を綺麗さっぱり忘れているはずだ。

「辺境の地にでも捨てておけ」
「かしこまりました」

 自分が誰かもわからず、平民とし明日の命さえも保証がない状態で惨めに暮らす。
 彼の努力次第では、幸せになれる道も見えてくるはずだ。

 俺は地下牢をあとにし、執務室へ戻った。
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