バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「これで、本当に満足なのかよ……」

 殿下は身支度を整え終えると、好きでもない女性を抱いてしまった後悔を募らせながら、さっさと姿を消してしまった。

 こんなに簡単に子どもを作れるのなら、もっと早くにこうした手段を講じるべきだったのだろう。
 そうすれば、彼が妹に心を奪われる前に繋ぎ止められたかもしれない。
 そう考えたら、悔しくて仕方なかった。

「まだ、負けたと決まったわけではありませんわ……!」

 痛みに耐えて子種を受け止めたのは、妊娠するためだ。
 このまま子宝にさえ恵まれれば、己の未来は明るい。
 私はそう信じることでしか、自分自身を保てないほどに壊れかけていた。

 だから――。

 互いを思いやり、助け合い、愛し愛される幸せな夫婦生活を奪われた男女が肌を重ね合わせる姿を目にした瞬間、このうえない無力感に駆られた。

 私とは、たった数分で終わらせた癖に。
 心を通わせた妹とは、何十分と愛し合うの?

 あの子ばかりずるい。
 私だってあんなふうに愛されたかった。
 あの女さえいなければ、心と身体の両方を手に入れられていれば――。
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