バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
『いい気味ですわ』

 ――坂から勢いよく転がり落ちていく殿下を安全な場所で嘲笑い、高みの見物をする。
 それこそが、私の選び取るべき正しい道だった。

 けれど――。

『あなたはこの国の国母となるために、生まれて来たのよ。何があっても絶対に、その座は渡してはいけません。いいわね?』

 己の判断ではなく、幼い頃に耳がタコになるほど言い聞かされた母親の言葉に従ってしまった。

 その結果――夫婦仲が冷え切るのを承知の上で、結婚すると決めた。

「オレがあんたを抱くのは、正妃だからだ。それ以上でもそれ以下でもない」
「言い訳なんて、聞きたくありませんわ。さっさと入れて、出してくださる?」

 ドレスを脱着する暇も惜しんで行われた義務的な初夜は、思い出すのすらも億劫になるほどに最悪な初体験となった。

「い……っ!」

 無理やり1つになったせいで、意識を失ってしまいそうになるほどの激痛が全身に迸る。
 それに歯を食いしばって耐えている時間は、片手で数えられるほどに短い。
 初夜は、瞬きするほどに早く終わりを告げた。
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