バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「怪我は!?」
「あ、ありませんわ……」
「ならいい」

 彼は先程までの剣呑な表情をどこかへ捨て去り、こちらを心配そうに見つめてきた。
 ダグラスが私から目を逸らした瞬間を見計らい、殿下は怒声を浴びせる。

「オレは王太子だぞ!? どこの誰だか知らんが、暴力を振るってただで済むと――!」
「嫌がる女性に覆い被さり、己の欲を満たす不届き者は、いくら高貴なる身分であったとしても厳正に処されるべきだ」
「オレを犯罪者扱いするとは……! あんた、命が惜しくないようだな!?」
「ああ。この身を捧げてルリミカを守れるのなら、喜んで命を捨て去ろう」

 まさかダグラスが、こんなにもはっきりと命を投げ出すような発言をするなど思いもしなかったのだろう。
 殿下は彼が憎くて仕方がないと言わんばかりに、押し殺した声を響かせた。

「横恋慕男が……!」
「横暴な婚約者よりは、マシだと思うが」

 2人は私がいるのもすっかり忘れ、バチバチと火花を散らし合う。

 ――男性陣が醜い争いを繰り広げている間に、ラルラと合流するのが一番かも……?
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