バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
 私が幸せになる道は、修道院ルートしかないと信じて疑っていなかった。

 なのに――。

 原作では語られなかったこの道こそが、最低最悪のバッドエンドなんて誰が想像できただろう?

「なんの前触れもなく、ある日突然救済の歌姫と呼ばれる少女が現れました。彼女は歌うことで人々を喜ばせ、傷を癒やし、時には絶望に陥れたのです」

 四肢を拘束されて、謎の薬を飲まされたせいか。
 朦朧とする意識の中で、私はボソボソと語る司祭の言葉を必死に聞き取ろうと努力する。

「幸せな気持ちでいっぱいな時は前者。悲しい気持ちの時は後者の効果が発動される。この仕組みに気づいた陛下は、王妹にいつまでも喜びに満ち溢れて歌を口ずさんでいてほしいと願いました」

 しかし、彼の口から語られたのは真面目に聞こうとしているのが馬鹿らしくなってくるような内容ばかりだった。
 私を裏切った婚約者の父親と、その妹の過去なんて聞いたところで、一体なんになる。
 そんな昔語をする暇があるのなら、さっさとこの拘束を解いてほしかった。
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