バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「あぐ……っ!」

 ――何が、起きたの……?

 こちらが困惑している間に、男性の押し殺した悲鳴とドサリと何かが落ちる音がする。
 しかし、扉の開閉音や足音はどこからも聞こえてはこなかった。

 ヴァルツハイユ帝国の王家に伝わる剣を持つ侵入者は、どうやってここにやってきたのだろうか……?

 それを確認するため、恐る恐る目を見開こうとした時だった。

「ひゃ……っ」

 何かが首元に触れたかと思えば、ジャラリと鎖が擦れるような音が聞こえてくる。
 最初は、手足の拘束を解いたのだとばかり思っていた。

 しかし――。

 胸元に少しだけ重みを感じるようになったあたり、ネックレスか何かを首筋に装着してくれたのかもしれない。

「そのまま、目を閉じていろ」

 耳元で囁かれたのは、ゾワリと背筋が凍るような低音ボイス。
 それは聞き慣れた、どれほど遠ざけようとしても追いかけてくる、憎たらしい男性の声で――。

「ダッ、ダグラス!?」

 私は思わず、目を閉じたまま大声で彼の名を呼んでしまった。
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