バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
 私は抜き身の刃を目にし、愕然とした。
 なぜならば、それは――。

 ――私を刺し殺した剣だったからだ。

「あなたが、なぜそれを……!」
「俺の名はダグラス・ヴァルツハイユ。ヴァルツハイユ帝国の第3皇子だ」
「なんですって?」

 私が慌ててベッドから上半身を起こしてその刃先を凝視すれば、彼の口からとんでもない秘密が打ち明けられた。

 ヴァルツハイユ帝国は、我がホトロス王国とは比べ物にならないほどの大国だ。
 他国とは友好な関係を築いているが、昔から何かと内紛が多い。
 一夫多妻制を導入しており、皇帝になるべく後継者は血筋や生まれた順番に関係なく選ばれるというのは有名な話だ。

 ――隣国の王族達は確か、3人の子どもがいたはず……。

 彼はどうしてヴァルツハイユを名乗らず、我が国でゼヴァイツ公爵の息子として生きているのだろうか……?

「実母を亡くした俺の立場は、自国でかなり怪しくてな。ゼヴァイツ公爵はそんな自分をかわいそうに思い、実子と偽り育ててくださった」
「あなたにも、そんな悲しい過去がありましたのね……」

 こんな大事なことがなぜ原作で語られなかったのかは不明だが、悪役令嬢の命を奪うダグラスに悲しい過去があるなんて描写してしまったら、同情が集まると危惧されたのかもしれない。
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