バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
「客間ではないことに、悪意を感じますわ……」
「俺の寝台に香りが移れば、君が居ないときもルリミカを感じられるだろう」
「わざわざ口に出して、言わないでくださる? 不愉快ですわ」
「いつもの君に、戻ったな」

 修道院にいた時に感じていた気だるさと倦怠感は、充分な睡眠を得たからだろうか。
 いつの間にか、どこかへ吹っ飛んでしまっていた。

 彼は調子が出てきたと満足気に微笑んだが、私はどうもダグラスと喧嘩をする気にはなれない。

 ――なんだろう。
 この感じ……。

 自分でもわけがわからないモヤモヤとした感覚に見ないふりをしながら、私はずっと気になっていたことを問いかける。

「あなたは修道院に、たった1人で乗り込んで来ましたの?」
「そうだが」
「でしたら、司祭が口にしかけた言葉の意味は……。あなたがヴァルツハイユ帝国の王家に伝わる剣を持っている。そういうことに、なりますわよね」

 こちらが断言口調で話しかければ、彼は無言で腰元の鞘に収納した剣を勢いよく引き抜く。
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