転生したけど捨てられそうなので、兄妹で楽しく生きることにします~超チートな家出兄妹は辺境で幸せ家族ができました~
 大事にしてもらっていると理解しているのなら、アーゲルの壁が崩れる日が来るのもそう遠くないのかもしれない。

「にいちゃ、ありがいる」
「そりゃ、ありぐらいいるでしょう」
「見ていると楽しいよねぇ……」

 前世でありがいるのを見かけたら悲鳴をあげた気もするけれど、今は興味深く眺めている。
 やはり、身体に心が引っ張られている気もする。意味もなくはしゃいだり、転げまわったりすることともあるし。
 ユリアの視線の先では、ありが行列を作って餌を巣穴に持っていくところだった。言葉がないはずなのに、きちんと列をなして歩いているのはどういう理屈なのだろう。
 アーゲルと並んでしゃがみ込み、ありの行列を眺めていたら背後から影が差し込んだ。

「あ、ジョイ?」

 振り返って影の主を見上げれば、ジョイがそこに立っていた。辺境伯家の息子なのに、子供達に呼び捨てにされてもなんとも思っていないらしい。
 本当にそれでいいのかとユリアは思わないわけではないけれど、ラーヴァル――辺境伯の名だ――もグレイスも何も言わないのでなぁなぁにしている。

「ふたりとも暇か?」
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