転生したけど捨てられそうなので、兄妹で楽しく生きることにします~超チートな家出兄妹は辺境で幸せ家族ができました~
 高熱にうなされている妹に何もできないのがつらい。きちんと治療すれば命を落とすようなことはない。よくある病だとわかっていても。
 回復魔術をうかつに使えばかえって悪化させかねないというグレイスの言葉も理解はできた。だから、こうやって客室に移ることにだって同意した。

(……でも、気になるんだよな)

 与えられた部屋は、きちんと整えられている。清潔な寝具、柔らかなベッド。本来なら、子供はぐっすり眠っている時間なのに、アーゲルは落ち着かなかった。
 時計を見上げれば、ちょうど日付が変わったころ合いだった。

(……ちょっとぐらいなら、いいか)

 別室で休むようにとは言われたが、妹の様子を見に行くなとは言われていない。そっと扉の外に滑り出たアーゲルは、ユリアとふたりで使っている子供部屋目がけて歩き始めた。

(……ちょっと、怖いかも)

 なんて、歩きながら考える。
 この時間になると、辺境伯家の屋敷で働いている人々もほとんど全員寝ているだろう。起きているのは、夜間警備の人ぐらいではないだろうか。
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