転生したけど捨てられそうなので、兄妹で楽しく生きることにします~超チートな家出兄妹は辺境で幸せ家族ができました~
「……どうして、グレイス様がユリアを看病しているんですか?」
「どうしてって私がそうしたいからよ」

 アーゲルにそう返すグレイスの目は、嘘をついていないようにアーゲルには見えた。

(……どうしよう)

 大人なんて信じられないと思っていたのに。この人のことは、信じたいと心のどこかで思ってしまう。
 ユリアが、辺境伯家の人々はいい人達だと言っていたのを、なぜかこの時わかってしまった。
 この人達は、子供に対価を求めてはいない。ただ、目の前にいる守るべき存在として、アーゲルのこともユリアのことも見ている。
 アーゲルの異常な魔術の能力を知ってもなお。

「さ、あなたはそろそろお部屋に戻りなさい」
「はい、グレイス様」

 ユリアは大丈夫だ。きちんと薬を飲んで、温かくして、側で見守ってくれる人もいる。
 その見守る人が自分ではないのがちょっと悔しいような気もするけれど――。
 グレイスの言葉を聞いていたかのように、すっと侍女が姿を見せる。彼女に連れられたアーゲルは、おとなしく客室に戻ったのだった。

 ◇ ◇ ◇



< 137 / 270 >

この作品をシェア

pagetop