転生したけど捨てられそうなので、兄妹で楽しく生きることにします~超チートな家出兄妹は辺境で幸せ家族ができました~
「だから、他の領地でも買えるようにしてもらえるというのはありがたい話なんだが、まだ外に出せるほどの生産量がないんだよ」
「……なるほど」
ラーヴァルの言葉に、商人が納得したかどうかはわからない。
(……今回は見送りだろうなぁ)
というより、冒険者組合に卸せば、そちらで各地の冒険者組合に配布してくれるから、あえて商人に依頼する必要はないのだ。
彼の方も、強引に話を通そうとしても無駄だと思ったらしく、いったん引き上げることにしたようだった。
応接間の方から、客人を送り出す物音が聞こえてくる。
「もっと、たくさん作れればいいんだけどね」
「他の魔術師さん達にわかりやすく伝えられればいいんだけど」
ベンチに座って話をしていたら、ちょうど帰ろうとしていた商人の目がこちらに向けられた。
「……おや? どこかで見た顔のような……ああっ!」
アーゲルとぱちりと目を合わせた商人は、目を丸くした。それから、アーゲルを指さす。
「なぜ、モルヴァーリード伯爵家のご子息がこんなところに?」
「え?」
「待て、アーゲル。行くな!」
それは、一瞬のことだった。