転生したけど捨てられそうなので、兄妹で楽しく生きることにします~超チートな家出兄妹は辺境で幸せ家族ができました~
 お金も少しは持っているはずだし、たしか野営の時に使う毛布もしまい込んでいる。
 いつでも、出て行こうと思えば出ていけるのだ。

(でも……出ていきたくないな)

 アーゲルとユリアがこの地を離れたら、携帯スープは売れなくなってしまう。
 いや、魔術師達が再現しようとしてくれているから、いつかは再現できるかもしれない。
 ――でも。
 まだ恩返しをできていないのに、出ていくのはなんだか嫌だ。

(……違うな)

 地面に腰を落とし、拳を握りしめて考えこんでいるアーゲルを見ながらユリアは思った。
 恩返しができていないなんて、言い訳だ。
 まだ、ユリアがこの地を離れたくないのだ。
 ラーヴァルも、グレイスも、ジョイも。皆のことが大好きだ。
 屋敷で働いている人達も、『星を守る者』達も、養育施設の子供達も大好きだし、また彼らと遊びたい。
 結局、ユリアがこの地の人々を好きになってしまっているのは変わらないのだ。

(でも、にいちゃが出ていくって言ったら……)

 ユリアの気持ちは決まっている。
 この地の人々は好きだけれど、アーゲルが出ていくと言ったらユリアも一緒に出ていくのだ。
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