転生したけど捨てられそうなので、兄妹で楽しく生きることにします~超チートな家出兄妹は辺境で幸せ家族ができました~
 ラーヴァルの手が、アーゲルとユリアの頭の上に置かれた。

「僕達を……家族にしてください」
「あたしも……あたしも、家族になりたい」

 アーゲルの言葉に、ユリアも続ける。そうだ、家族になりたい。
 この温かな人達と、家族になりたい。

「ええ、あなた達は、私達の子よ。ふたりとも、愛しているわ。ずっと愛しているから、私達の子になってちょうだい」

 グレイスの腕の中に抱きしめられ、最初に声をあげて泣き出したのはアーゲルだった。つられるように、ユリアの目からもぼろぼろと涙が流れ落ちる。
 愛しているなんて言われたのは、この世界に生まれて初めてかもしれない。
 父、母、兄――そして、まだ会えていないけれどもうひとりの兄ができた。
 その喜びが、ユリアの胸を満たす。
 もとの家がなにか言ってくるかもしれないけれど、何があっても大丈夫だ、大丈夫。
 アーゲルと顔を合わせると、どちらからともなく手を差し出して握りあった。

* * *



出入りの商人の商人から話を聞いたモルヴァーリード伯爵は、眉間に深い皺を寄せた。役立たずのふたりが行方不明になってから、もうかなりの日数が立っている。
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