転生したけど捨てられそうなので、兄妹で楽しく生きることにします~超チートな家出兄妹は辺境で幸せ家族ができました~
 もちろん、協力を求めた側はなんらかの形で礼をしなければならない。金銭だったり、人材の派遣だったり、その時によって必要なものは変わってくるけれど、きちんとした領主ならばそうするものらしい。

「でも、辺境伯領の財政は苦しいんでしょ? 支払いはどうするつもりなの?」
「仮定の話に食らいつくなあ。ま、俺のとこの家宝のひとつかふたつ差し出せばすむ話だろ」

 けろりとして辺境伯は言うが、家宝を差し出すのはかなりの大事ではないだろうか。だが、領主としては、その方がきっと正しいのだろう。
 アーゲルやユリアがどちらに好意を覚えるかといえば、断然辺境伯の考え方だ。

「……僕さ、正直あの人達がどうなろうと知ったこっちゃないんだよね」

 ぼそりとアーゲルが言う。
 その声は、幼い子供のものにしては、あまりにも低く暗いものだった。アーゲルの声を聞いたグレイスの身体に思わず力が入るのをユリアが感じ取ったほどに。

「だけど、領地の人々を犠牲にするのは間違っていると思う」
「……にいちゃ」

 あの家での生活は、ユリアとアーゲルにとっては苦しいものが多かった。食事の質さえ、変えられてしまうほどに。
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