転生したけど捨てられそうなので、兄妹で楽しく生きることにします~超チートな家出兄妹は辺境で幸せ家族ができました~
 ふわりと頭に浮かぶのは、ふたりともまだ幼かった頃の記憶。
 いや、今だって幼いけれど。
 暑い夏の日。エアコンを効かせた部屋の中で、座布団を枕代わりにくっついて眠ったこと。
『お腹にちゃんとかけておかないと、冷えちゃうでしょ』

 と、優しい声でタオルケットをかけてくれたのはきっと前世の母。
 懐かしい。でも、もうあの頃には戻れない。
 無意識のうちに、アーゲルにぎゅっとくっつくように身を寄せる。そうするうちに、あっという間に眠気がやってきた。

 アーゲルとユリアは、用心深く旅を続けた。
 子供だけで旅をしているのに気づかれたら、いろいろと厄介なことに巻き込まれるに決まっている。
 そのため、街に寄るのは必要最低限。調味料を調達したり、道中手に入れた薬草や弱い魔物の肉や素材を売る時ぐらいである。
 アーゲルがもう少し大きくなったら、どこかの街で冒険者組合に登録する。そして、そこで生活の基盤を作ろうというのがアーゲルとユリアの決めたことだった。
 それまでの間は、旅を続けるのだ。
 冬の間も、アーゲルの結界があれば快適に過ごせる。無理をして街にとどまる必要もない。

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