転生したけど捨てられそうなので、兄妹で楽しく生きることにします~超チートな家出兄妹は辺境で幸せ家族ができました~
 ユリアとアーゲルの着替えを終えると、彼女は部屋を出て行った。隣室に控えているので、用ができたら呼んでほしいと言い残して。

「……気を遣われているな」
「うん……でも、にいちゃを利用するって……」
「途中の村でやらかしたからなー。でもあれ、僕達だけ逃げて村人が全滅したら、きっと嫌な気分になっただろうから、しかたないね」

 アーゲルの能力は、できるだけ隠しておくつもりだった。だから、旅をしている間も、結界の魔術以外は見せないようにしてきたのだ。

「でもさ、あの人達も何も言わなかったよね」

 ふたりをここまで連れて来た冒険者パーティーの面々も、あれ以降もアーゲルを利用しようとはしなかった。
 魔物が出てきたら彼らの手で討伐し、きっちり解体して、不要な部分は焼却していた。
 利用するつもりなら、もっと速くできたような気もする。

「……しばらく、お世話になるか。たしかに、僕はともかく、ユリアは少し休んだ方がいい」
「にいちゃ、あたし、大丈夫よ?」
「きっと、そう思っているのはユリアだけだよ」

 兄の目にそう映っているのなら、これ以上ユリアからは何も言う必要はないのかもしれない。

< 90 / 270 >

この作品をシェア

pagetop