転生したけど捨てられそうなので、兄妹で楽しく生きることにします~超チートな家出兄妹は辺境で幸せ家族ができました~
 胸がぽかぽかと温かくなってきたのに、ぎゅっと締め付けられたようにも感じられる。ちらりとアーゲルの方にも目を向けたら、彼も複雑な表情をしていた。

(……前世も、こんな感じだったけど)

 前世の家族は、仲がよかった。ユリアだけはそこから早めに脱退してしまったけれど、家族の温かさはちゃんと覚えている。
 今回の人生では、与えられなかった温かさ。痛みを覚えた胸を誤魔化すように、ユリアはパンの籠に手を伸ばす。

「お取りしましょうか」

 控えていた執事が、すっとパンの籠をユリアの側に寄せてくれた。

「この小さいのをください」

 スープもパンも蒸し野菜も美味しい。
 美味しいけれど、残念ながらユリアの胃はそこまで大きくない。
 食べきれるだけ皿に取り、残さないのが食材や食事を作ってくれた人への敬意だ。少なくともユリアはそう思っている。

「ねえ、ジョイ。このお屋敷の人達、なんか変じゃない?」

 食事を終えた後、厨房へと連れて行ってもらえることになった。ジョイと並んで歩きながら、ユリアはそう問いかける。

「僕もそう思う」

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