憧れのセカイへ!
 トップバッターは、梨央奈ちゃんと凛香先輩のチーム、ユニークだ。
 それぞれのステージは拝見したことがあるけれど、ふたり揃ってのパフォーマンスは見るのが初めて!
 どんな歌やダンスなのか想像もつかないし、楽しみ。

 「こんにちはーっ、初めまして! わたしたち、ユニークです!」

 「なんとありがたいことに、チームコンテストのトップバッターになることができました! 一番になったからには、わたしたちは全力で頑張ります。よろしくお願い致します!」


 “わたしたちの個性がぶつかり合うと
  運命のリズムが生まれるんだ
  はちゃめちゃ ワクワク
  世界一楽しい瞬間だね

  同じ呼吸で 合わせるのは難しいけど
  同じステップを踏むことはできる

  個性が違うわたしたちだから
  きっとこんなにも笑顔になれるんだね
  苦しいときはこのステージを見て
  あなたを笑顔にしてみせるよ!”


 わぁ、何だろう、この胸のあたたかくなる感じ……。
 じっとしてなんていられない、今すぐ踊っちゃいたいくらい気分がいい!
 それはきっと、ユニークのステージを見たおかげだと思う。ふたりがわたしたち観客をものすごく楽しませてくれるパフォーマンスをしたから。

 「トップバッター、ユニークのお二人でした。素晴らしいパフォーマンスをありがとうございました!」

 すごかったな、ユニークのステージ。
 もっと見ていたいと思う、ワクワクする気持ちが湧き出てくる。
 わたしたちは、わたしは、どんなステージを観客に届けたいのだろう。

 「のぞみ、奥谷さん、お疲れ」

 「梨央奈ちゃん!」

 「原さん、すごかったね。本当に見ていて楽しかった」

 「ありがと。見てて分かったでしょう、わたしと凛香先輩はそれぞれ個性が光っているの。その個性をステージに生かして、観客を楽しませるパフォーマンスをした」

 わたしと葵ちゃんは、一緒に頷いた。

 「それで? あんたたちはどんなステージを観客に届けたいの?」

 「えっ」

 「まさか、何も考えてないんじゃないでしょうね。このコンテストに優勝できればいいっていう気持ちだけじゃ、きっと目標には届かないわよ」

 どんなステージを届けたいか。梨央奈ちゃんから聞かれた問いはまさにさっきわたしが考えていたことだった。
 葵ちゃんと顔を見合わせる。

 「葵ちゃんは、お客さんにどんなステージを届けたい?」

 「そうね、わたしは……陽だまりのような、あたたかい笑顔になってもらいたい」

 「葵ちゃん……わたしもそう思ってる! わたしたちは陽だまり。だから、みんなを笑顔にするステージをしたい」

 「のぞみ、ありがとう。ふたりの気持ちが一緒なら、絶対できるよ。だってのぞみの今の笑顔は、陽だまりみたいだもの」

 わたしの笑顔が……?
 自分では分からないけど、そんなふうに言ってもらえて自信がついた。

 「もう、意気投合しちゃって。最初からわたしがいなくても良かったんじゃない」

 「そんなことないよ、梨央奈ちゃん! 梨央奈ちゃんが大切なことを気づかせてくれたんだよ」

 本心でそう思っている。梨央奈ちゃんはいつも言い方は厳しいけど、わたしたちのことを大切に思ってくれている気持ちが伝わるから。

 「そうね、のぞみの言う通り。原さん、ありがとう」

 「なっ……! もう、勝手にしてよね。ていうかその“原さん”てやめてよ。分かった? 葵っ」

 「え……うん、梨央奈!」

 わたしたちは、三人で笑いあった。
 葵ちゃんとわたしで結ばれた絆がどんどん広がっていく気がして、嬉しかった。


 「みなさん、とても悲しいですが、チームコンテストは終わりが近づいてきてしまいました……!」

 「えっ、もう終わり?」

 「もっと見たかったのにー」

 「ですが、あと最後の一組が待機しております。ではよろしくお願い致します!」

 わたしは葵ちゃんの隣に並び、覚悟を決めた。

 「何だか不思議だね。ソロステージのときはひとりきりだったのに、今は違う」

 「そうだね。わたしたちは、ひとりじゃない。一緒に、みんなを笑顔にするステージをしよう!」

 「うん!」


 “何があっても きっと大丈夫だろうって
  自分のこころに言い聞かせたんだ
  でも離れてから分かった
  全部 当たり前じゃないこと

  わたしが成長できるのは
  隣のキミが憧れだから
  わたしが光を掴むときは
  キミが隣にいてくれるときなんだ”


 サビが来る。ここで大きくターン!
 だけど、足がもたついてしまい、転んでしまいそうになった。
 その瞬間、すぐさま葵ちゃんが手を取ってくれて、振り付けをいい感じに誤魔化してくれた。
 ……ありがとう、葵ちゃん!


 “一緒なら きっとどこまでだって飛んでいける
  あの大きな空へと羽ばたこうよ
  陽だまりのような笑顔で名前を呼ぶキミが
  ずっと ずっと 大好きだから!”


 わたしたちは、手を握ったまま上へ掲げた。
 この瞬間はかけがえのない、わたしたちのための時間だった。
 ふたりで目標の光に届きますようにと願いを込めて。
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